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イスラエルの伝統を築いた人々 その8:ソロモン②

<成和学生会報2017年1月号掲載>

 

 

盤石な王国を築いたソロモン

 
 「ダビデの子ソロモンはその国に自分の地位を確立した。その神、主が共にいまして彼を非常に大いなる者にされた。」(歴代志下1・1)
ダビデが先祖の列に加えられた後、ソロモンがイスラエルの王位につきました。彼は父ダビデから王位を奪おうとした兄のアドニヤをはじめ、兄に味方した者たちをことごとく打倒して、盤石な地位を築いたのです。
また、隣国エジプトと良好な関係を結び、パロの娘を妻に迎えて、国際的にも安定した位置を得ることができました。新たな王の船出は順風満帆でした。それは、彼が父ダビデの遺言に従い、主なる神様を愛し、その定めと掟とを守りながら、まっすぐにその道を歩んでいたからです。

 

知恵を求めたソロモン

 
ある日、ソロモンはエルサレムから北へ20キロほど行ったギベオンの聖所で燔祭を捧げていました。その夜のことです。主なる神様はソロモンの夢に現れて言いました。

「あなたに何を与えようか、求めなさい」。(列王紀上3・5)
神様の前に立つソロモンはいたって謙虚でした。今自分が王位にあるのは父ダビデが主なる神様の前に“誠実と公義と真心”で仕えたからであって、自分の功績は何もないと感じていました。感謝の気持ちでいっぱいだったにしても、自分に任された民をどのように導いたらいいのか、途方に暮れていたのかもしれません。
ソロモンは神様にこう答えました。

「聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。(列王紀上3・9)
彼は、自分のためには何も求めず、ただ神が選ばれた民、イスラエル民族を正しく導く知恵だけを願いました。それは神様のみこころにかなっていました。そこで神様はこう答えます。
 「見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。」(列王紀上3・12)
ソロモンは、神様から知恵を与えられただけでなく、求めなかった富と名誉までも与えられることになります。ただし、神様はこう付け加えることを忘れませんでした。
「もしあなたが、あなたの父ダビデの歩んだように、わたしの道に歩んで、わたしの定めと命令とを守るならば、わたしはあなたの日を長くするであろう。」(列王紀上3・14)
イスラエルの王とは主なる神様によって選ばれた者です。神様のみこころに従って選民を治め、王国を導く使命があります。その先に、来るべき方が来られるのです。
ソロモンは深い感動を覚えながら夢から覚めました。エルサレムに戻り、契約の箱の前で感謝の供え物を捧げ、家臣たちと喜びを分かち合いました。

 

ソロモンの知恵深い判決

 
ソロモンの知恵深さを示すエピソードが聖書に記されています。
争う二人の女が王に訴え出ました。二人の女は、同じ家で生活しており、三日違いでそれぞれ子供を産みました。ある夜、一方の女が誤って自分の子を押しつぶして死なせてしまいました。そこで、もう一人の女の子供とすり替えたというのです。二人の女は、生きているのは自分の子だと互いに言い張り、争いは平行線をたどるばかりです。
女たちの訴えに冷静に耳を傾けていたソロモンは、家臣に命じて刀を持ってこさせ、厳格に言い放ちました。

「生きている子を二つに分けて、半分をこちらに、半分をあちらに与えよ」。(列王紀上3・25)
王の裁きのことばに狼狽したのは生きている子の本当の母親でした。彼女は「心がやけるようになって」、子供はもう一人の女にあげて、決して殺さないでほしいと懇願したのです。ところがもう一人の女は、冷徹にも、子供を一方のものにするのではなく、半分に切り分けてください、と言ってのけたのです。
二人の反応をつぶさに観察していたソロモンは、次のように判決を下しました。

「生きている子を初めの女に与えよ。決して殺してはならない。彼女はその母なのだ」。(列王紀上3・27)
ソロモンのこの判決を聴いた人々は驚き畏れました。イスラエルの民がこぞって感心してしまったのです。それはとても人間的な技とは思えなかったからです。物語の結びにはこう記されています。
 「神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。」(列王紀上3・28)
ソロモンの知恵深さは世界の国々にも知られることとなります。

Category: 誌面説教