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イスラエルの伝統を築いた人々 その8:ソロモン①

<成和学生会報2016年11・12月合併号掲載>

 

 

平和と繁栄をもたらす王

 「ソロモンの治世は平和そのものであった。神が彼のために四方の勢力を抑えられ、ソロモンは主の名のために家を建てて、永遠の聖所を備えた。」(『聖書新共同訳』続編 シラ書〔集会の書〕47・13)
ダビデの40年間にわたる治世の土台の上に、イスラエルの国に本格的な平和と繁栄が訪れました。イスラエル統一王国の正統な王となったソロモンの治世は平和そのものだったと後世の人々は称えています。エルサレムの神殿を建設し、人々を知恵深く裁いた彼の功績を、イスラエル民族は長く語り継いできました。
ソロモンは、ダビデとウリヤの妻であったバテシバとの間に生まれた二番目の子供です。ダビデがバテシバを見始めて初めて宿した子は、ダビデの犯した過ちのゆえに生まれて間もなく死にました。ダビデが王の権力を使い、バテシバの夫であったウリヤを欺いて戦場で殺させために、神様は王を罰したのです。ダビデは預言者ナタンが告げた神様のみ言を深く受け止め、悔い改めました。その後、ゆるされて二人の間に宿ったのがソロモンです。

 

ソロモン誕生の経緯は、エジプトのパロに奪われたサラを兄妹の立場から取り戻したアブラハムの出来事を思い起こさせるものです。イスラエル民族の伝統を立てた人物たちの歩みには、アダムとエバの犯した過ちを蕩減復帰するための出来事が多く含まれているものです。
ダビデの子ソロモンは、神様の心にかなった王子でした。聖書には

「主がこれを愛された」(サムエル記下12・24)

と記されています。

 

老齢の王ダビデを侮る息子のふるまい

主なる神様に愛されたソロモンであっても、王位を継承するのはそう簡単ではありませんでした。預言者ナタンの後押しと母バテシバの協助が必要でしたし、何よりもダビデ王の祝福がなければなりませんでした。
ダビデは老齢になり、その衰えは隠しようもありませんでした。そのような状況を見定めて、ソロモンとは腹違いの兄アドニヤが自分に味方する軍を従えて王位に就こうとしました。
かつてダビデが愛した息子アブサロムが父を裏切り王位を襲いましたが、神様のみこころにはかなわず撃たれました。今度は、老いた父を侮る息子アドニヤが同じく王になろうというのです。彼は生まれてから今まで父に戒められたことがなかったので、親も神様も畏れなかったようです。それでもやましさがあったのか、自分に味方する兄弟や王の家来だけを招いて祝宴を設け、ソロモンと彼に近い家臣は招きませんでした。

 

バテシバの訴えと預言者ナタンの支え

アドニヤの動きを知った預言者ナタンは、バテシバを支えてソロモン王の擁立を図ります。ソロモンの母バテシバは、預言者の指示に従って、床に臥せったままのダビデに進言しました。
 「わが主よ、あなたは、あなたの神、主をさして、はしために誓い、『おまえの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と言われました。そうであるのに、ごらんなさい、今アドニヤが王となりました。王わが主よ、あなたはそれをごぞんじないのです。」(列王紀上1・17-18)
バテシバは、ダビデの口から公にソロモンを後継指名するよう迫りました。このままダビデが亡くなることがあれば、ソロモンが謀反人とされてしまうと訴えるのでした。預言者ナタンもバテシバの訴えを後押ししました。そこでダビデは、バタシバに約束したばかりか、預言者や家臣に命じて言いました。
 「あなたがたの主君の家来たちを連れ、わが子ソロモンをわたしの騾馬に乗せ、彼を導いてギホンに下り、その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹いて、『ソロモン王万歳』と言いなさい。それから、あなたがたは彼に従って上ってきなさい。彼はきて、わたしの位に座し、わたしに代って王となるであろう。わたしは彼を立ててイスラエルとユダの上に主君とする」。(列王紀上1・33-35)

 

このようにダビデ王の詔が下ったので、人々はそのごとくに行動し、ソロモンが正式に王位に就きました。慌てたアドニヤと彼に味方した人々は、すぐさまソロモンへの恭順を示し、ソロモンの治世は無事スタートしたのです。

 

ダビデ王の遺言

まもなくダビデは臨終を迎えました。ダビデは息を引き取る前、ソロモンに次のような遺言を与え、イスラエルの王たる者の在り方を示しました。
 「あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事と、あなたの向かうすべての所で、あなたは栄えるであろう。」(列王紀上2・3-4)

Category: 誌面説教