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イスラエルの伝統を築いた人々 その7:ダビデ③

<成和学生会報2016年6月号掲載>

 

ダビデに嫉妬するサウル王

 
立派な兵士に成長したダビデは、ペリシテ人との戦いで多くの功績を立てました。サウル王は彼を隊長に取り立て、家臣たちも、イスラエルのすべての民もそれを歓迎しました。

 
ある日、サウル王とイスラエル軍の凱旋を出迎えた女たちは、鼓と琴を奏でて踊り、「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」。(サムエル記上18・7)と祝いの歌を歌いました。これを聞いたサウル王は面白くありません。自分よりも人気のあるダビデに、怒りと嫉妬を覚え、やがて彼が自分を裏切り、王位をねらってくるに違いないと疑うようになりました。

 
サウル王は、例によって悪霊に悩まされ、ダビデに対する疑念は強くなり抑えることができません。傍らで琴を弾くダビデを、手にした槍を振りかざし突き殺そうとしました。ダビデは身をかわして何とか難を逃れるのでした。

 
それでも、ダビデはイスラエルのためにペリシテ人と戦えば勝利を収めるので、人々の好感度は益々高くなっていくのです。主なる神様は、サウル王を離れ、ダビデと共におられたので、サウル王は彼を恐れたと聖書は記しています。

 

サウル王の策略

 
自分の手を汚すことを恐れたサウル王は、ある策略をめぐらしました。ダビデを千人隊長に昇格させたうえで、最前線に送り込み、敵の手で殺させようとしたのです。ダビデを騙すために勝利すれば娘婿にすると約束しました。

 
ダビデにはサウル王の王位を襲う野心はなく、王の娘を妻に迎えることなど畏れ多く望んだこともありませんでした。ただ、イスラエルのため王の命ずるまま戦いに臨み、勝利をおさめて帰って来たのでした。

 
もともとダビデを娘婿にする気などない王は、ダビデのいない間に長女メラブを嫁に出してしまったため、慌てました。都合よく次女ミカルがダビデに好意を寄せているのを知り、彼女を嫁にやると約束して、もう一度ダビデを戦いに向わせようとしました。

 
貧しい羊飼い上がりのダビデにとっては身に余る光栄なことでしたが、王の娘を妻に迎えるためには、多額の結納金が必要です。ダビデは躊躇しました。そこで王は、家来たちがダビデを説得するよう仕向け、ペリシテ人100人を殺しさえすれば、結納金は不要と伝えたのです。

 
そこでダビデは決意を固めて出陣し、早々と200人のペリシテ人を殺して帰ってきて、証拠のものを王に捧げました。あてが外れたサウル王は、しぶしぶ娘ミルカとの結婚を赦し、ダビデは王の娘婿になったのです。

 
ダビデはペリシテ人との戦いで誰よりも功績を立て、人々の尊敬を勝ち得るのですが、サウル王だけは彼への敵意を燃やし続けていくのです。

 

ヨナタンの執り成し

 
先の策略が失敗したサウル王は、今度は息子ヨナタンにダビデを殺すよう命じました。しかし、ダビデを実の兄弟以上に愛するヨナタンは、彼を助けるために父の説得にかかりました。

 
ダビデは、命がけでペリシテ人と戦ったので、主なる神が勝利を与えた。王にとって良いことをし、あなたも喜ばれたのに、どうして彼を殺そうとするのかと詰め寄りました。

 
「王よ、どうか家来ダビデに対して罪を犯さないでください。」 (サムエル記上19・4-5)と訴えるヨナタンの言葉で我に返ったサウルは、この時は、ダビデを決して殺さないと誓いました。しかし、サウルに悪霊が臨むと、またダビデを殺そうとして槍を投げつける始末です。ダビデはこれもかわして逃げることができました。

 
サウル王の気持ちはなお治まらず、彼の寝込みを襲って殺そうとしました。しかし、今度は、王の計画を察知した妻ミルカが、夜の内に、密かにダビデを逃がしました。押し入った家来が見たものは、床に寝かされた人形だけでした。

 
闇にまぎれて王宮を抜け出したダビデは、サムエルの住むラマまで逃れていくのでした。

 

神様の訓練

 
王に対して恨みを抱かず従順な態度を貫くダビデですが、サウル王の執念は彼を見つけ出し殺すまでおさまりそうもありません。ダビデは、ヨナタンと連絡を取りながら王の様子を伺います。ヨナタンはサウル王の心探り、その決意のほどを確かめ、ダビデの逃亡を助けるのです。今はまだ、殺されないよう王のもとを離れるしかないダビデでした。

 
主なる神様が共におられ、人々から愛されたダビデでしたが、サウルに代わってイスラエル全土を治めるようになるには、まだ、多くの試練を経なければなりませんでした。神様への信頼を決して失わず、自らに向けられた憎しみと嫉妬をダビデはどう克服していくのでしょうか。主なる神様の訓練はまだ続きます。

Category: 誌面説教