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イスラエルの伝統を築いた人々 その6:サウル①

<成和学生会報2016年1月号掲載>scan0015

 

先見者のところへ行こう

ベニヤミン族のサウルは、まだ若く、イスラエル人の中で誰よりも美しい容姿をしており、背も人一倍高かったそうです。ある日、父親キシが所有している数頭のロバが群れを離れてしまったので、サウルが捜しに行くことになりました。サウルは、従者を伴い方々を探し回りましたが、見つかりません。諦めて帰りかけた時に、従者の思いつきで、近くに住む預言者サムエルのもとを訪ねて相談することにしました。

彼らは、手持ちの銀を贈り物として携え、「さあ、先見者のところへ行こう」と言って、サムエルの住む町を目指しました。先見者と呼ばれた神の人、預言者サムエルが正しい道を教えてくれることを期待したのです。
その日はサムエルが犠牲の供え物を捧げる日に当りました。二人が町に到着した時、ちょうど犠牲を捧げるために聖なる高台に上がって行くサムエルに出くわしました。

 

サムエルに対する主のお告げ

サムエルはその前日、主なる神から次のようなお告げを受けていました。
「あすの今ごろ、あなたの所に、ベニヤミンの地から、ひとりの人をつかわすであろう。あなたはその人に油を注いで、わたしの民イスラエルの君としなさい。彼はわたしの民をペリシテびとの手から救い出すであろう。わたしの民の叫びがわたしに届き、わたしがその悩みを顧みるからである」。(サムエル上9・16)
そして、サムエルがサウルを見た時、主なる神は「見よ、わたしの言ったのはこの人である」(サムエル上9・17)と彼に告げました。
何も知らないサウルは、サムエル本人に先見者の家を訪ねたのです。そこでサムエルは「わたしがその先見者です」と答え、サウルに一緒に高台に上がり、共に食事をするように命じました。そして意味深長な話をします。
「三日前に、いなくなったあなたのろばは、もはや見つかったので心にかけなくてもよろしい。しかしイスラエルのすべての望ましきものはだれのものですか。それはあなたのもの、あなたの父の家のすべての人のものではありませんか」。(サムエル上9・20)

 

ロバのことではなく主なる神を思え

サウルがすでにイスラエルを治める者であるかのように語るサムエルの言葉に、サウルは戸惑いを隠せません。弱小のベニヤミン族の中でも卑しい一氏族の若者に過ぎない者に、なぜそんな言い方をするのか、いぶかしく思うのです。
サムエルは、ロバのことや親のこと、家庭内の些細なことに気をもむ青年の心を押し広げて、大いなる神にその目を向けさせます。主なる神のみ意や神が導いてこられたイスラエル民族の行く末に心を配るよう誘っていきます。
犠牲祭を終えたサムエルはサウルを部屋に招いて食事を共にし、宿を与えた翌朝、神の言葉を知らせるために彼を連れ出します。

 

サウルに油を注ぐ

サムエルは、町のはずれでサウルの頭に油を注ぎ、言いました。「主はあなたに油を注いで、その民イスラエルの君とされたではありませんか。あなたは主の民を治め、周囲の敵の手から彼らを救わなければならない。」(サムエル上10・1)そして、どのようなしるしが彼に与えられるのかを伝えます。そのしるしは、ベニヤミン族の町に戻ると、「すでにロバは見つかっておりサウルの父は子供の消息を心配している」との知らせを耳にする。その後、ペリシテ人の守備隊のところで預言者の一群に会うと、主の霊が注がれ預言をするようになり、新しい人に変わる、というのです。
サムエルと分かれたサウルに、神は新しい心を与え、預言者の語ったしるしをことごとく見せました。ギベアで預言者の一群に会った時には、神の霊がサウルに臨み、共に預言を始めました。しかし、サムエルが到着するまで、7日間待つように言われていたので、彼は親族にも詳しいことは何も話しませんでした。

 

イスラエルの王の誕生

その後、サムエルがミヅパの町に到着して、イスラエルの全部族を呼び集めました。指示に従って部族ごとにくじ引きをすると、ベニヤミン族が当り、その中から、マテリ氏族が当たり、さらにその中からキシの子サウルがくじに当りました。
サウルは恐れて荷物の間に隠れましたが、すぐに見つかってしまいました。人々の前に現れたサウルは誰よりも背が高く、威光がありました。サムエルは「主が選ばれた人をごらんなさい。民のうちに彼のような人はないではありませんか」(サムエル上10・24)と呼びかけると、民は皆”王万歳”と叫びました。
ここにイスラエル最初の王が立てられました。サウル王は、神様の願いに従って、イスラエル民族に託された大きな使命と責任をその肩に担うことになります。

Category: 誌面説教