Subscribe via RSS Feed

イスラエルの伝統を築いた人々 その5:サムエル③

<成和学生会報2015年12月号掲載>6a00e55043abd088340120a566eaff970c-800wi

 

サムエルの執り成し

ペリシテ人に奪われた神の契約の箱が戻ってきてはじめて、イスラエルの人々は自らの過ちに気づきました。創造主であり救い主としてイスラエル民族を召され、導いてこられた神様をないがしろにした罪を悔い改めました。
それが心からのものであるかどうかを確かめるかのように、サムエルは人々に告げました。
 「もし、あなたがたが一心に主に立ち返るのであれば、ほかの神々とアシタロテを、あなたがたのうちから捨て去り、心を主に向け、主にのみ仕えなければならない。そうすれば、主はあなたがたをペリシテびとの手から救い出されるであろう」。(サムエル記上7・3)
これに応えてイスラエルの人々は、決意を実行に移し、偶像崇拝をきっぱりと止めました。それを見たサムエルは神様に執り成しの祈りを捧げます。彼は全国の民をミヅパに集め、犠牲祭を執りおこない、祈りの声を上げました。
その時、イスラエル民族が一所に集まっていることを知ったペリシテ人は、イスラエル殲滅の好機とみて、軍勢を差し向けました。イスラエルの人々は、迫りくる敵に恐怖を覚えました。しかし、かつて敗北を喫した時のようには慌てませんでした。武力にのみ頼ることも、神の箱の呪術的な威力に頼ることもせず、サムエルと共に祈りました。
私心を捨てて一体となった民を見て、神様は強きみ手で敵を打ちました。雷鳴が轟き、ペリシテの軍勢はかき乱され、兵士たちは敗走し始めました。そこでイスラエルの兵士はペリシテ人を追撃して打ち破りました。
神様による確かな勝利を経験したイスラエルの民は、“主こそ我が王”だと確信しました。奢りを捨て感謝を捧げた彼らは、ひと時の平安を取り戻したのです。

 

サムエルの後継者問題

その後、長くイスラエルを治めた士師サムエルも年老いて、息子たちに使命を託そうとしました。長男の名はヨエル、次男はアビヤ。二人は父の仕事を受け継ぎ、公正な裁き司となることが願われました。しかし残念ながら、彼らは神の前に潔癖ではありませんでした。とあります。私利私欲のために正義と公平を欠き、民の不満の種となりました。偉大な士師サムエルでも、息子たちを相応しい後継者に育てるのは極めて困難だったようです。

 

王を求める民

イスラエルの民は、このことでサムエルを追及しました。「あなたは年老い、あなたの子たちはあなたの道を歩まない。今ほかの国々のように、われわれをさばく王を、われわれのために立ててください」。(サムエル記上8・5)
“ほかの国々のように”と要求する民のことばにサムエルは引っ掛かりました。イスラエルにとって主なる神様以外に王はなく、民の上に君臨する絶対専制君主を戴くことは認めらません。
詩篇は、“神は大いなる王である”と謳います。
 「神をほめうたえよ、ほめうたえよ、われらの王をほめうたえよ、ほめうたえよ。神は全地の王である。巧みな歌をもってほめうたえよ。神はもろもろの国民を統べ治められる。神はその聖なるみくらに座せられる。…」(詩篇47・6-8)
それでもサムエルは、自分の考えを吟味し、神様に判断を委ねて祈りました。神様は、まず人々の訴えに耳を傾けるよう命じました。サムエルはその通りにしました。その結果、イスラエル民族と向き合う神様の事情を悟ることとなります。
サムエルは、頑なな民を忍耐強く導く神様の姿を思いながら、王制による功罪を冷静に伝えることで、民に再考を促しました。王は自らの権能で、国防のための軍備を強化し、徴税制により官吏を養い、強大な周辺諸国からの攻撃に対して守りを固めることが出来るけれども、国民は王の奴隷になってしまうのだと言います。
それでも、人々はイスラエルを治める王を強く求めました。サムエルは民の要求をすべて神様に報告しました。神様はサムエルの意に反してこう命じました。「彼らの声に聞き従い、彼らのために王を立てよ。」(サムエル記上8・22)
どんな意図で神様はイスラエルの王を立てることを許されたのでしょうか。サムエルはこの意図を探り、専制君主ではない王、神様の願いどおりに民を愛し国を守るイスラエル独自の王の姿を追い求める責任を担うことになります。
その時、ベンヤミン族のキシの息子サウルがサムエルを訪ねて来るのです。

Category: 誌面説教