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イスラエルの伝統を築いた人々 その5:サムエル

<成和学生会報2015年10月号掲載>Eli_and_Samuel

 

士師時代の終わり

士師は、王、祭司、預言者の三つの役割を合わせ持つイスラエルの指導者です。ヨシュアとカレブの後継者として、彼らの伝統を守り、王を迎えるまでの間、民族に危機が迫る度に神様から召命されました。


士師時代の終わり、祭司エリがシロの町で契約の箱を守っていました。彼は神様の前に正しく生き、人々からも尊敬されていました。しかし後継者であった二人の息子は不正を働き、親が戒めても聞く耳を持ちません。
そこで、神様は、エリとその家族に裁きのことばを告げるため、神の人を遣わしました。罪を犯した二人の息子の死を宣告した後にこう付け加えました。
 「わたしは自分のために、ひとりの忠実な祭司を起す。その人はわたしの心と思いとに従って行うであろう。わたしはその家を確立しよう。その人はわたしが油そそいだ者の前につねに歩むであろう。」(サムエル記上2・35)

 

サムエルの誕生と奉献

その頃、エフライム人エルカナとその家族がシロの神殿に巡礼に来ました。妻ハンナは、子供が授からない苦悩を泣きながら神様に訴えました。祈りのことばは声にならず口だけが動いていました。
その様子を見たエリは、ハンナが酔っているものと誤解して、「酔いを醒ましなさい」と叱りました。彼女は、積もる憂いと悩みを神様に訴えているのだと答えます。事情を理解したエリは、優しくハンナを励まし、「安心して行きなさい。どうかイスラエルの神があなたの求める願いを聞きとどけられるように」(サムエル記上1・17)と言いました。
慰めを得て家に帰ったハンナは、間もなく身籠り、やがて月満ちて元気な男の子を産みます。その子はサムエルと名付けられました。
ハンナは神様に誓っていたので、乳離れするまではサムエルを手元で育て、その後にエリのもとに連れて行き、神に仕える者となるよう奉献しました。
彼女は、毎年巡礼の度に、成長していくサムエルのため、彼の祭服を仕立てて持って来ました。ハンナは母親でありながら、乳母のように幼な子サムエルに侍ったのです。サムエルは神にも人にも愛されて成長しました。幼いながらも、エリの下で祭司の務めを果たすサムエルでした。

 

神の声に耳を傾ける

ある夜、彼が神の箱の置かれた神殿で寝ていると、神様が呼びかけました。「サムエルよ、サムエルよ。」
エリが呼んでいると思ったサムエルは、飛び起きて師のところに走って行きました。「お呼びになりましたか」と尋ねるサムエルに、エリは「私は呼んでないから、戻って寝なさい」と答えます。
二度、三度と名前を呼ぶ神様ですが、サムエルはそれが神様の呼び声だとは思いもしません。何度か繰り返すうちに、ようやくエリが気付き、こう教えました。
「もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。(サムエル記上3・9)
サムエルが寝ていると、もう一度同じ声がしました。「サムエルよ、サムエルよ」。サムエルは、エリに教えられた通りはっきりと答えました。「しもべは聞きます。お話しください。」(サムエル記上3・10)
ここで神様は、エリに告げたことと同じ内容を、サムエルにも語りました。エリの家庭に対する裁きのことばです。
朝になって、サムエルは昨夜のできごとをエリに報告しましたが、神様の厳しいことばをそのまま伝えることをためらいました。しかし、エリが強いて聞いたので、サムエルはその全てを話しました。
エリはそれを受け止めてこう言いました。「それは主である。どうぞ主が、良いと思うことを行われるように」。(サムエル記上3・18)老いたとはいえ、エリもまた、サムエルを通して語られた神様の声に耳を傾けたのです。

 

ともしびは消えない

サムエルが初めて神様のみことばを受けたのは、「神のともしびはまだ消えず、サムエルが神の箱のある主の神殿に寝ていた時」(サムエル記上3・3)だったと聖書は記しています。
祭壇にろうそくの火が灯ったままだったというのではありません。神様はみ旨を成就するまでは、決して諦めず休むことがないということでしょう。神様は人類を取り戻すため、ひとり子を送ろうと長き歴史を歩まれました。その間に、使命を果たすべき中心人物が倒れても、それに代わる人物を探し出し、使命を継承させてきたのです。
神様は、エリが生きているうちに若きサムエルを召し、預言者として立ててイスラエルに王を迎える準備をさせたのです。
「主はふたたびシロで現れられた。すなわち主はシロで、主の言葉によって、サムエルに自らを現された。こうしてサムエルの言葉は、あまねくイスラエルの人々に及んだ。」(サムエル記上3・21)

Category: 誌面説教