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イスラエルの伝統を築いた人々 その3:士師たち⑤

<成和学生会報2015年8月号掲載>20120810155716a6f

 

サムソンの誕生

オテニエルから数えて12番目に登場する士師サムソンは、士師の中でもユニークな存在です。イスラエル民族を束ねてカナン民族との戦いに挑んだかつての士師のようにではなく、神様から与えられた人並み外れた怪力で、たった一人敵と戦った勇者なのです。
40年間ペリシテ人の支配が続いた後に、ダン族のゾラ人マノアとその妻のもとにサムソンは誕生します。イスラエル民族を哀れむ神様は、子がないこの夫婦に御使いを遣わし、男の子の誕生を告げました。御使いは、彼が将来ペリシテ人から民族を救う者だから、頭にカミソリを当てず、聖別された“ナジルびと”として育てるよう命じました。選ばれた夫婦は生まれてきた子にサムソン(太陽の人)と名付け、主の命令を守って大切に育てました。

 

婚宴でのなぞかけ

やがて成長したサムソンは、神様の密かな作戦に基づきテナム地方のペリシテ人の娘と結婚しました。サムソンは、婚宴を設け花嫁の親族らを招き、余興に一つのなぞをかけました。“食らう者から食い物が出、強い者から甘い物が出た“この意味を説いて見ろと言う訳です。宴の続く7日間で謎が解けたら亜麻衣と晴れ着の褒美を与えると約束したのです。
3日間考えても分からない客たちは、サムソンの妻を脅して答えを聞きだそうとしました。夫と親族の板挟みに苦しむ新妻は、泣いてサムソンに懇願しました。根負けしたサムソンは、とうとう7日目に答えを教えてしまいました。
サムソンがライオンを素手で殺し、屍に蜜がたまってそれを食べたことは、本人以外誰も知れません。それが謎の答えでした。正解を言い当てられたサムソンは悔しさのあまり、「わたしの若い雌牛で耕さなかったなら、わたしのなぞは解けなかった」(士師記14・18)と言い放って故郷に帰ってしまいました。褒美は約束通り与えましたが、ペリシテ人から略奪した晴れ着を与えたのです。
このことで、義父はサムソンを婿として受け入れず、娘を別の男に嫁がせました。この仕打ちにサムソンは、ペリシテ人の麦畑とオリーブ畑を焼きました。その報復に今度はペリシテ人がサムソンの妻とその家を焼き払いました。これに怒ったサムソンは更なる報復を加えました。

 

怪力サムソン

報復合戦のあおりで、ペリシテ人の攻撃を真っ先に受けるようになったユダ族は、サムソンを生け捕りにしてペリシテ人に引き渡そうとしましたが、彼の力にかなう者はいません。襲いかかる敵の前で縄はほどけ、落ちていたロバの顎の骨ひとつを武器に千人の敵をうち滅ぼしてしまいました。サムソンの力を思い知ったペリシテ人はそれから20年間は息をひそめて機会をうかがっていました。

 

デリラの罠

その後、ペリシテの女デリラを愛したサムソンは、女のもとに通ってきました。それを知ったペリシテ人は、デリラと取引をしました。サムソンの怪力の秘密を聞き出せば巨額の褒賞金をやると持ち掛けました。
デリラは取引に応じ、毎晩、サムソンに怪力の源は何かと問い詰めたのです。かつての失敗を覚えるサムソンは、二度、三度と嘘をつきました。デリラは、サムソンの愛が冷めたのかと、責めました。女の情に翻弄されるサムソンは苦悩の末にとうとう秘密を明かにしました。それは、神様に誓ってこれまで一度もカミソリを当てたことのない髪にあったのです。
デリラは、サムソンをひざの上で眠らせ、彼の長い髪を剃り落としました。目を覚ましたサムソンは力が失せたのに気づきましたが、後の祭りです。彼はあっけなく捕えられ、両眼をえぐられ、敵の獄につながれてしまったのです。
悔しくも悲しい暗闇の獄中生活の中で、彼は静かに過去を回想し、自らに生命を与え給うた主なる神様にもう一度心を向けました。時が経ち、髪は再び伸びてきました。

 

犠牲の死

ペリシテ人はサムソンを捕えて勝利に酔っていました。祭りの日が巡ってきたので、サムソンを大衆の前に引き出して侮蔑し、神殿の柱の間に立たせて皆で物笑いの種にしました。この時サムソンは主に向かって声をあげました。
「ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」(士師記16・28)

彼の痛切な祈りの後、「わたしはペリシテびとと共に死のう」(士師記16・30)と決意して、神殿を支える二つの柱を力まかせに引き寄せました。
サムソンは甦った怪力で神殿を打ち壊し、集まった数千の人々を道連れにしました。「こうしてサムソンが死ぬときに殺したものは、生きているときに殺したものよりも多かった。」(士師記16・30)と聖書には記されています。

Category: 誌面説教