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イスラエルの伝統を築いた人々 その3:士師たち③

<成和学生会報2015年6月号掲載>Gideao_poesia

 

ギデオンの召命

アビノアムの子バラクの勝利によって、40年間の平穏な時がもたらされました。しかし、その後、「イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなったので」(士師記6・1)、またしてもミデアン人の侵略を許してしまいました。
7年に及ぶミデアンの支配で荒廃した国土を見つめて嘆くイスラエル民族は、ようやく主なる神様に心を向けて祈り始めました。その時、主のみ使いが、マナセ族ヨアシの子ギデオンに遣わされました。
「大勇士よ、主はあなたと共におられます。…あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。」(士6・12,14)
マナセ族の中でも弱小氏族の若者にすぎない者に、なぜそのような大きな使命を託すのだろうか、と不思議に思ったギデオンは、本当にイスラエルの先祖を導いてきた主なる神様の使いなのかと疑いました。
ギデオンは何かしるしを見せてほしいとその使いに迫り、肉と種なしパンを急いで用意して、み使いの前の岩に供えました。すると、み使いは杖を取りだし、その先で供え物に触れたので、岩から火が燃え上がって供え物を焼き尽くしたのです。これを見て畏れたギデオンは、ようやく信じて、その命令に従うことを決意しました。

 

父の協助

それから主なる神様は、バアルの祭壇を破壊し、アシラ像を倒して燃やし尽くせと、ギデオンに命じました。彼は、町の人々が騒ぐのを恐れて、従者と共に夜密かに実行したのです。
朝になって、事件に気づいた町の人々は騒ぎたち、ギデオンの父ヨアシに詰め寄って言いました。「あなたのむすこを引き出して殺しなさい。」(士師記6・30)
ところが、父ヨアシはギデオンの側に立って、彼らに決然と反論しました。イスラエル民族でありながら、バアル神を弁護する彼らの言動が理解できないというわけです。ヨアシは言いました。
 「バアルがもし神であるならば、自分の祭壇が打ちこわされたのだから、彼みずから言い争うべきです」。(士師記6・31)

勇者の選抜

その後、ミデアン人が東方の民を束ねて軍を編み、ヨルダン川を渡ってエズレルの谷に陣を敷きました。この時、主の霊がギデオンに臨み、ギデオンがラッパを吹いたので、彼の氏族アビエゼル人は皆集まって彼に従いました。さらに、マナセ族の全氏族、アセル、ゼブルン、ナフタリの各部族も彼の呼びかけに答えました。ギデオンのもとに集った兵士は総勢3万2千人になりました。
そこで主はギデオンに言いました。「あなたと共におる民はあまりに多い。ゆえにわたしは彼らの手にミデアンびとをわたさない。」(士師記7・2)神様は、イスラエル民族が自分の力で勝利したと勘違いして傲慢になり、彼らの心がまた遠く離れていくのを嫌ったのです。ヨシュアの伝統に従えば、イスラエルの戦いは神様の戦いであり、その勝利は万軍の主なる神様によってもたらされるものです。敵陣を前にして恐怖を覚える者を帰らせると、1万人が残りました。
それでもまだ兵の数が多すぎるとみた神様は、水ぎわで水を飲む様子を観察して、勇士を選抜されました。兵士のほとんどは、ひざをつき、かがみこんで水面に顔を近づけて飲みました。ある者は、犬のように舌で水をなめていました。これらの者は戦力から外されました。
周囲を警戒しながら手ですくって飲んだ者だけを選ぶと、たったの300人だけが残りました。この時、主はギデオンに言われました。「わたしは水をなめた三百人の者をもって、あなたがたを救い、ミデアンびとをあなたの手にわたそう。」(士師記7・7)

 

300人の勝利

その夜、主の命令がギデオンに下りました。ギデオンは従者を伴い、敵陣の最前線を偵察しました。おびただしい数の兵士がそこに伏していましたが、ある兵士が仲間に自分が見た夢の話をしているのが聞こえてきました。それは、ミデアンの陣中に入りこんだギデオン軍が彼らを打ち破ることを暗示する内容でした。
この話しを聞いたギデオンは、勝利を確信し、300人の兵士に作戦を施しました。3組に分けてミデアン軍を取り囲み、ギデオンの合図で、ラッパを吹き鳴らし、壺を打ち砕き、「主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫びました。
これに動揺したミデアン軍は混乱をきたして、同志打ちを始め、遂に敗走し始めました。全軍がこれを追撃して、遂にギデオン軍が勝利を収めました。再び40年の太平がイスラエルに訪れたのです。
人々はギデオンがイスラエルの王になることを求めましたが、ギデオンはイスラエルを治めるのは主なる神様のみであるからと、この申し出を断り、生涯王位に着くことはありませんでした。

Category: 誌面説教