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イスラエルの伝統を築いた人々 その1:モーセ⑨

<成和学生会報2014年12月号掲載>モーセの遺言と死

荒野の40年を振り返る

 「これはヨルダンの向こうの荒野、パランと、トペル、ラバン、ハゼロテ、デザハブとの間の、スフの前にあるアラバにおいて、モーセがイスラエルのすべての人に告げた言葉である。」(申命記1・1)
イスラエル民族は、40年の荒野における流浪生活を終えて、ヨルダン川の東側、モアブの野に入りました。ここで、モーセは、カナン入国に備え、神様から頂いたみ言、すなわち、律法についての長い解説を始めます。自らは約束の地に入ることができないことを悟ったモーセは、これから民族が守るべきこと、立てるべき伝統についてのすべてを教え諭すのです。
はじめに、40年の荒野生活に入らざるをえなかったできごとを思い起こします。約束の地を探り、入国を目前にしながら、神様が共におられることを信じることができなかったカデシ・バルネアでの無念なできごと。あの時のように、再び過ちを犯さないために、先代の行為を我がことのように悔いるのです。
そして、あの時神様が語られた祝福のみ言を鮮明に思い起こします。
 「見よ、わたしはこの地をあなたがたの前に置いた。この地にはいって、それを自分のものとしなさい。これは主が、あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓って、彼らとその後の子孫に与えると言われた所である。」(申命記1・8)
40年にわたる荒野の生活は苦難に満ちたものでしたが、彼らが得た結論は、神様が共におられたので、何も乏しいことがなかった、ということでした。

 

律法の再確認

そこでモーセは、ホレブの山で与えられた律法について力強く語ります。
 「イスラエルよ、きょう、わたしがあなたがたの耳に語る定めと、おきてを聞き、これを学び、これを守って行え。われわれの神、主はホレブで、われわれと契約を結ばれた。主はこの契約をわれわれの先祖たちとは結ばず、きょう、ここに生きながらえているわれわれすべての者と結ばれた。主は山で火の中から、あなたがたと顔を合わせて語られた。その時、わたしは主とあなたがたとの間に立って主の言葉をあなたがたに伝えた。」(申命記5・1-5)
続いて石板に書き記された“十戒”が宣布されます。これは、イスラエル民族がカナンの地に入ってからも守るべき戒めであり、それをひたむきに守ることによってのみ平安が得られると教えます。また、子孫たちにも教え守らせることによって、イスラエル民族の伝統の柱が立てられると教えます。
律法の核心、旧約聖書を貫く最も重要な戒めがここに記されています。「イスラエルよ聞け。われわれの神、主は唯一の主である。あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくして、あなたの神、主を愛さなければならない。」(申命記6・4-5)
“主なる神を愛すること”を基として、さらに細かな律法が伝えられます。それらは、懲罰を含む規範で、生活全般に及びます。

 

モーセの遺言

モーセの遺言ともいえる長き説話の終わりに、希望のメッセージが加えられました。
「わたしが、きょう、あなたに命じるこの戒めは、むずかしいものではなく、また遠いものでもない。…この言葉はあなたに、はなはだ近くあってあなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる。」(申命記30・11,14)
“神様を愛せよ”と今は繰り返し教え、覚えさせなければならないけれども、そのみ言が心に刻まれる時に、人々は自ずと神様を愛することができるようになる、と言うのです。
いよいよ最期を迎えたモーセは、ヨシュアを呼び、イスラエル民族の前で後継者として立て、その使命を確認しました。語り聞かせた律法を書き記し、それを祭司と長老に伝授しました。これを繰り返し民に読み聞かせ、守らせるよう指示しました。全てのイスラエル民族に対しては、神様が如何なるお方であるのか、彼らと共にどのような道をたどられた方なのかを思い起こす歌を歌い聞かせました。
そして、死の直前、ヤコブがそうであったように、人々に向かって祝福の言葉を残します。
 「主はシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山から光を放たれ、ちよろずの聖者の中からこられた。その右の手には燃える火があった。まことに主はその民を愛される。すべて主に聖別されたものは、み手のうちにある。」(申命記33・2-3)
モーセはネボ山に登り、神様が与えると約束したカナン全土を見渡した後、そこで先祖の列に加えられました。120歳になっても、まだその気力は衰えていなかったと言われます。

Category: 誌面説教