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イスラエルの伝統を築いた人々 その1:モーセ④

<成和学生会報2014年7月号掲載>Martin,_John_-_The_Seventh_Plague_-_1823

使命のための再出発

 「神はモーセに言われた、『わたしは、有って有る者』。」(出3・14)

モーセをシナイで召命し、イスラエル民族をエジプトの苦役から解放しようとしたのは、“有る者”という方でした。自らの“名”を語り、使命を受諾することをためらうモーセにしるしを見せて押し出します。創造主であり救済主として、アダムとエバの堕落以後、人類歴史を導いてこられた方、“かつて在り、今在り、これからも在る方”が、自らを召したとの実感をもって歩み始めたモーセです。そこに、モーセの助け手として準備された3歳年上の兄アロンが迎えにやってきました。

 「モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。」(出4・28)

“モーセに会え”とだけ神様から命じられていたアロンでしたが、その理由がつぶさに分かりました。神から与えられた使命を弟のモーセと共に担う決意をもって、彼をイスラエルの長老たちのところに導きます。彼らもモーセの話に耳を傾け、しるしを見て信じました。神様がようやく約束どおり解放してくださる時がき来たとの希望が沸き起こりました。

40年前とは違って、モーセとアロン、そしてイスラエル民族が一つとなって神の前に立ち、そこから摂理の第2章が始まりました。

 

パロとの交渉

イスラエル民族は闇にまぎれて逃亡しようというのではありません。エジプトで生み増えた何十万がこぞって、正々堂々と約束の地に向かって出立するべく、パロとの交渉が始まります。知恵深く、忍耐強く交渉を重ねていく必要がありました。

創造主を認めないパロは、モーセの要求をまともには取り合わず、怠け者の奴隷の訴えとみて一蹴しただけでなく、さらに重い労役を課すのでした。事態は悪化したために、モーセに対する信頼が揺らぎ、人々の期待は失望に変わりました。

苦悩のうちに神様に訴えるモーセに、神様は強く語りかけ、民にこう告げよと言います。「わたしは主である。わたしはあなたがたをエジプトびとの労役の下から導き出し、奴隷の務から救い、また伸べた腕と大いなるさばきをもって、あなたがたをあがなうであろう。わたしはあなたがたを取ってわたしの民とし、わたしはあなたがたの神となる。わたしがエジプトびとの労役の下からあなたがたを導き出すあなたがたの神、主であることを、あなたがたは知るであろう。」(出6・6-7)

パロの心を頑なにし、十の災いでもってエジプトを打つことで、イスラエル民族ばかりかエジプト全土に創造主の存在を知らしめるというのです。神様は語った通りにおこないました。災いは、民族の心をモーセと一つにし、頑ななパロの心を変えるまで続きました。第1に、ナイル川の水を血に変えると予告し、そうなりました。次に蛙が放たれました。3番目にブヨ、4番目に虻、5番目に疫病の流行、6番目に腫れ物が生じ、7番目に雹が降り、8番目にイナゴの大群、9番目に暗闇が覆い、最後にエジプトの長子が打たれました。

過越し

「この月をあなたがたの初めの月とし、これを年の正月としなさい。」(出12・2)

最後の災いを降らせる前、神様はあらかじめイスラエル民族に出発の備えをさせました。いよいよ時が来たことを知らせ、傷の無い一歳の小羊を屠り、それを食べ、その血は入口の柱とかもいに塗っておくように命じました。それは、災いがその家を過ぎ越していくためです。

その夜、家にこもっていた人々の耳には、泣き叫ぶエジプト人の声が聞こえてきました。神様が、長子をことごとく打たれたのです。貴賎の別なく皆死にました。主人も奴隷も長子は死に、家畜もういごが撃たれ、恐れと悲しみが全土を覆いました。

この時になって、ようやくパロはモーセを呼び寄せ、彼らにエジプトかから出て行くよう命じました。

イスラエルの子孫たちは、春の“過越祭”を祝うたびに、このできごとを思い起こし、み言と食事で、救いのできごとを記念しています。それによって“私”も選民の一人として、神様の偉大な救いのみ業を目の当たりに見た、という体験を持つようになるのです。

ヤコブの一族がエジプトに下ってから430年。奴隷のくびきから解放されたイスラエル民族は、モーセに率いられて約束の地、乳と蜜の流れる地カナンへと出発しました。

進路を南に変えて荒野を進む間、「主は彼らの前に行かれ、昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らを照し」(出13・21-22)て進まれました。しかし、目的のカナンはまだ遠く、その後も民族は、選民としての自覚と誇りを取り戻すために、多くの困難を乗り越えていかなければなりませんでした。

Category: 誌面説教