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神様と共に歩んだ父祖たち その4:ヨセフ⑥

<成和学生会報2014年2月号掲載>Claes_Cornelisz._Moeyaert_002

 

ユダの説得によるヤコブの決断

飢饉は、ヨセフの預言どおり長く続きました。ヤコブの家族は、エジプトから持ち帰った食糧でしばらく飢えをしのぎましたが、貯えはやがて底をつきました。

窮したヤコブは密かに食糧を買い付けに行かせようとしましたが、息子たちは動きません。エジプトの宰相を恐れたからです。

以前、長兄のルベンは父であるヤコブに、ベニヤミンをエジプトにつれていくよう説得しましたが反対されました。「もしわたしが彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、わたしのふたりの子を殺してください。」(創世記42・37)失敗すればわが子を代償にするというルベンの言葉に、ヤコブは同意できなかったからです。

今度は、ユダが父に話しをしました。「あの子をわたしと一緒にやってくだされば、われわれは立って行きましょう。そしてわれわれもあなたも、われわれの子供らも生きながらえ、死を免れましょう。」(創世記43・8)失敗を恐れるよりも、家族が共に生きる道に望みを託そうというのです。

このことばに父は本心を呼び覚まされました。もはや子を失った悲しみに沈み、決断を遅らせていたヤコブに、天使と格闘し、兄エサウの前に恐れなく進み出た勝利者の姿が甦ってきました。この時、聖書は彼の名をヤコブとは書かず、イスラエルと記しています。

早速、子らに指示を出します。名産品を集めて宰相への贈り物とし、倍額の銀を携え、袋に入っていた銀は全額返済せよと銘じます。そして、こう言い放ちました。

 「弟も連れ、立って、またその人の所へ行きなさい。どうか全能の神がその人の前であなたがたをあわれみ、もうひとりの兄弟とベニヤミンとを、返させてくださるように。もしわたしが子を失わなければならないのなら、失ってもよい」。(創世記43・13-14)

 

エジプトの宰相の歓迎

兄たちがベニヤミンを連れて来たのを見たヨセフは、家つかさに命じて、午餐会の用意をさせ、彼らを家に案内させました。

訳も分からず宰相の家に連れて行かれる兄たちは非常に恐れました。そこで、袋に入っていた銀をそのまま返しにきたと、家つかさに正直に告白しました。ところが、家つかさは銀をすでに受け取っており、「その宝はあなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたの袋に入れてあなたがたに賜わったのです。」(創世記43・23)と言うのです。さらに、シメオンを解放し、彼らを食卓へと導きました。

そこに戻ったヨセフに、彼らは父からの贈り物を差し出し、地にひれ伏しました。すると、驚いたことに、ヨセフは父親の安否を尋ね、ベニヤミンに声をかけました。この時も、ヨセフは宰相として威厳を保ち、通訳を介していたので、兄たちはまったく気づきませんでした。しかし、懐かしい弟の姿に思いが込み上げ、ヨセフはひとり隠れて泣きました。

それから、顔を拭ってテーブルに着き、豪勢に食事をふるまいました。思わぬ歓待振りに驚く兄たちでしたが、兄弟も解放され、食糧も充分に確保して夢心地のまま帰路に就きました。

 

ユダの真実の訴えが心を溶かす

ここでヨセフは一計を図ります。家つかさに命じて兄たちの袋に銀を戻し、ベニヤミンの袋には、ヨセフの銀の杯をしのばせた上で、彼らの後を追わせたのです。

家つかさは、彼らに追いつき、ヨセフの命じた通り、主人の銀の杯を盗んだ者がいると咎めました。彼らは身に覚えのないことに強く反論し、盗んだ者を処刑して、残りの兄弟は奴隷にしてもよいとまで言いました。ところが、杯はベニヤミンの袋から見つかったのです。

彼らは、再びヨセフの前に引っ立てられました。この時ユダは恐れることなく宰相に訴えました。「神がしもべらの罪をあばかれました。われわれと、杯を持っていた者とは共にわが主の奴隷となりましょう。」(創世記44・16)ユダは、心の底からヨセフのことで神の前に犯した過ちを悔いたのです。

しかし、ヨセフは同じ母から生まれた慕わしい弟ベニヤミンだけを手元に残したいと思って仕組んだことでしたから、ユダの訴えを退けます。それでも食い下がるユダは、これまでの家族の葛藤と悲痛な父ヤコブの心境を切実に吐露しました。

 「わたしがあなたのしもべである父のもとに帰って行くとき、もしこの子供が一緒にいなかったら、どうなるでしょう。父の魂は子供の魂に結ばれているのです。この子供がわれわれと一緒にいないのを見たら、父は死ぬでしょう。」(創世記44・30-31)

父をこれ以上悲しませたくはないので、自分が弟の身代わりとして奴隷にもなる、と語るユダの言葉に偽りはありません。とうとうヨセフは、自分を制することがでず、人払いをして、大声を上げて泣きました。そして、兄弟に明かしました。

「わたしはヨセフです。」

Category: 誌面説教