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神様と共に歩んだ父祖たち その4:ヨセフ

<成和学生会報2014年1月号掲載>joseph

 

エジプトに下るヨセフの兄たち

ヨセフは、パロの寵愛を受けてエジプト名ザフナテ・パネアを頂き、祭司の娘アセナテを妻に迎え、二人の子も生まれました。ひと時の幸せに、今までの苦労を忘れたかのようでした。

パロの夢に示された通り、7年間の豊作が続いたので、その間にヨセフは全国を巡って、備蓄用の食糧を集めておきました。飢饉が続くと、エジプトの人々も周辺の民も、食糧を求めてヨセフのもとに来るようになりました。
カナンに住むヤコブも食糧が乏しくなってきたので、子供たちに命じてエジプトに買い出しに行かせることにしました。ただし、ベニヤミンだけは災いにあうのを恐れて手元に残しました。

ヨセフを失ってからすでに20年以上の歳月が流れていましたが、父ヤコブの悲しみは消えませんでした。今なお愛する息子が生きていることを信じたかったのです。

父親の悲痛な姿を見てきた兄たちの心も痛みました。弟を奴隷に売ったことへの後悔が芽生え、この機会にヨセフを探し出し、父のもとに返そうとしたのだと、ユダヤの伝説は語ります。だから、兄たちは不審な外国人として捕えられ、宰相の下に引き出されたとも言います。

 

夢は現実となる

さて、目の前に威厳を持って立つエジプトの宰相が、実は弟ヨセフであるとも知らず、地にひれ伏す兄たちでした。一方、一目で兄だと分かったヨセフは、少年の頃に見た夢を思い出したのです。兄たちの恨みを買うことになったあの夢は、今や目の前で現実となったのです。ここに至るまでの紆余曲折の人生が走馬灯のようによみがえってきます。この夢の続きがどうなるのかは、彼自身の行動にかかってきました。

宰相たる者が公の場で、おいそれと他国人に親しく声をかけるわけにはいきません。私情を挟むところでもありません。しかし、年老いた父と幼い頃に別れた弟ベニヤミンのことが気がかりです。また、兄たちが今でも自分を憎んでいるのかどうかも確かめる必要があります。

 

兄たちを試みる

ヨセフは顔色を変えず、厳しく尋問を始めました。「あなたがたは回し者で、この国のすきをうかがうためにきたのです」。(創世記42・9)

食糧を買うために来たと答える彼らの弁明も聞かず、さらに厳しく追求しました。すると兄たちは、家族のことまで正直に話したので、父と弟が元気でいることがわかりました。

ヨセフはすかさず言いました。「あなたがたのひとりをやって弟を連れてこさせなさい。それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言葉をためしてみよう。」(創世記42・16)そして、3日間監禁所に入れて様子を見ました。

動揺する彼らの様子を観察しながら、3日目に新たな妥協案を提示します。兄弟のうち一人だけを残して、残りは食糧を携えて帰り、末の弟を連れて来ることでした。

弟を連れてくるまではスパイの嫌疑は晴れないというヨセフの言葉にいっそう戸惑う兄たちは、嘆きの声を上げました。

 「確かにわれわれは弟の事で罪がある。彼がしきりに願った時、その心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。それでこの苦しみに会うのだ。」(創世記42・21)

奴隷の苦しみ、牢獄生活の悲しみを一番よく知っているヨセフです。牢獄の中でこそ本心が表れてくるものです。自分を売ったことに対する悔恨の情を吐露する兄たちの心を知って、ヨセフの感情は高ぶり、密かに涙を流しました。

そして、シメオンを縛り、残りは食糧を持たせて、ふるさとに送り返しました。かつてヨセフを殺そうと言い出し、兄弟の中で最も血の気の多いシメオンは、兄弟たちと引き離され、牢に留め置かれました。

 

深まるヤコブの悲しみ

ひとまず食糧を買って帰路に就いた兄たちでしたが、途中、支払ったはずの銀が袋の中に返されていたので驚き恐れました。家に帰ってから起こったことのすべてを父ヤコブに報告しました。

子に先立たれる親ほど不幸なものはありません。ヤコブは、またしても愛する子らを失うことになるのかと嘆きました。そこで、長男ルベンは言いました。

 「もしわたしが彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、わたしのふたりの子を殺してください。ただ彼をわたしの手にまかせてください。わたしはきっと、あなたのもとに彼を連れて帰ります」。(創世記42・37)

わが子を代償とするというルベンの説得にもヤコブは応じません。ラケルが生み遺した二人の息子の中で、たった一人残ったベニヤミンが災いにあおうものなら、生きていくことができないと言うのです。

一家は不安を抱えたまま、しばらくの時を過ごすのです。

Category: 誌面説教