便利さの罠と不便さの福
便利さの罠と不便さの福
『「福」に憑かれた男』(喜多川泰著)に登場する主人公は、福の神に憑かれてからは不運の連続でした。しかし不運の中から人として大切なことを学び直していきます。その本でいう福の神とは、私たちが忘れがちな大切なものを気付かせてくれる“真なる福をもたらす神”だった、という物語です。都会の光が満点の星空を奪うように、便利さは大切な何かを失う機会にもなり得ます。反対に、体調不良や停電等の不便さは、時に大切なものを気付かせてくれます。
現在、高校生の約半数がスマートフォンを所持しています。スマートフォンは、大人も含めた現代人の生活スタイルを激変させました。新聞にゲーム機、銀行に百科事典、テレビにデパート、カメラに友人100人と、一つの携帯に全てを入れて持ち運べるのです。しかし、その便利さ故に様々な問題があることを知る必要があります。特に成長途上にある中高生たちにとって、安易な便利さは危険をはらむものです。ネット上には膨大な情報と感情が交錯しますが、若者に絶大な人気を誇る“LINE”は、人との繋がりを促進すると同時に新たないじめの温床となり、依存症等の各種問題を引き起す場合もあります。ここで、アメリカで最近話題となった、“母から13歳の息子へ伝えたスマートフォンを使う為の『18の約束』”を要約し紹介します。
① 所有者は母親であり、あなたへの貸付け
② パスワードは母親がいつも知っていることとする。
③ 電話が鳴ったら必ず取り、礼儀正しく答える。両親の着信は絶対に無視しない。
④ 朝7時30分から電源をオンにし、平日は夜7時30分、休日は夜9時まで。
⑤ 学校へは持って行かない。友人とメールではなく直接会話を楽しむ。
⑥ 修理費用は自己負担、お小遣いでカバーする。
⑦ 嘘や他人を傷つける発言、ネットいじめはしない。
⑧ 人に面と向かって言えないことを、メールで言わない。
⑨ 友人の両親がいる場で言えない言葉は、メールでも電話でも言わない。自己規制する。
⑩ 両親にも見せられる情報のみ検索すること。何か質問があれば人に聞くのが一番。
⑪ 公共の場や他の人との会話中はスイッチか音を切る。あなたは無礼な人ではない。
⑫ 自他ともに大事な部分の写真を送受信しない。ネット世界は広大で、安易な行動は危険。
⑬ 写真やビデオをむやみに撮らない。経験はあなたの記憶に永遠に保存される。
⑭ たまに携帯を家に置いて出かけ、あなたは強い存在であることを確認する。
⑮ 周囲の友人が聴く音楽だけでなく、他と違う音楽も聴き、視野を広げる。
⑯ 言葉遊びやパズル、またはクイズのような頭の体操系ゲームで時々遊ぶ。
⑰ 目線を見上げ、周囲の世界を見る。窓の外、鳥の声、他人との会話を楽しむ。
⑱ 約束を破った場合は携帯没収、座って話し合う場を持つ。これは共同プロジェクト。
親子間での約束は、スマートフォンの使用に限らず、様々な場面で必要ではないでしょうか。便利さの裏には必ず罠が潜んでいることを親子で確認し、便利な道具を使用する際には、互いに納得する約束を交わすことが大切です。
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