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神様と共に歩んだ父祖たち その4:ヨセフ④

<成和学生会報2013年12月号掲載>ivanov2

 

牢獄で夢を見る囚人

 「これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役とがその主君エジプト王に罪を犯した。パロはふたりの役人、すなわち給仕役の長と料理役の長に向かって憤り、侍衛長の家の監禁所、すなわちヨセフがつながれている獄屋に入れた。」(創世記40・1-3)

奴隷の身でありながら侍衛長の妻を誘惑したという、ヨセフにとっては有り難くない噂話は、しばらく人々の話題にのぼりました。ポテパルの妻が自らその話を広めたのかもしれません。その間、黙々と獄中生活を送るヨセフを神様は憐れまれ、噂話をかき消す新たな事件が起りました。

国王の毒殺を企てた嫌疑で二人の高官が捕らえられ、ヨセフのいる獄屋につながれたのです。一人は宮廷のワインを管理する給仕長、一人はパンを焼く料理長でした。侍衛長ポテパルのヨセフに対する信頼は変わらなかったようで、彼らの世話をヨセフに命じました。

ある日、顔色の悪い二人を心配して、ヨセフは声をかけました。すると、昨夜見た夢の意味を解いてくれる者がいないので、悲しみに沈んでいたというのです。二人は一晩にそれぞれ夢を見たのですが、誰に聞いても納得する答えが返ってこなかったのです。彼らにとって、夢は天からの重要なメッセージを知らせるもの、それが分からないのは苦しいことでした。

 

夢を解く者

 「解くことは神によるのではありませんか。」(創世記40・8)そういうヨセフは、天地の創造主、人類の救済者である神様に信頼を置いてこそ、その意味を理解することができるという確信がありました。「どうぞ、わたしに話してください」(創世記40・8)と言って、彼らの話に耳を傾けました。

わらをもつかむ思いで語る彼らの話から、ヨセフはすぐさまその意味を理解しました。夢はそれぞれの未来を予見するもので、給仕長は、3日後には赦されて元の役目に戻されるが、料理長の方は、3日後には木に架けられ処刑されると解いたのです。それから3日目、パロの誕生日の祝いに合せて、この二人の高官の処遇が決定しました。ヨセフが言った通りの結果になったのです。

ヨセフもかつては夢を見るだけの者でした。その頃は、夢の意味も分からず、見たままを家族に話したために、兄たちに憎まれてしまったのです。

しかし、その後のヨセフは、父ヤコブがそうであったように、苦労の只中でも落胆せず、黙々と働き続けました。奴隷となっても、囚人となっても、不平を漏らさず、誠心誠意、自らの職務を果たしました。それはひとえに神様が共におられるという確信からでした。神様の守りがあるからこそ、今も生きているのだから、忍耐と努力を重ねるのは当然だと考えたのです。

牢獄の中はあらゆる情報が行き交う所です。また、深く内面を見つめる所でもあります。色々な人間が、自分の体験や見た夢のことを語り、時にはその解釈を話し合うのは日常の光景でした。その中でヨセフは知恵深く人々の話に耳を傾け、多くのことを学んでいきました。そしていつしか、ただ夢をみる者から、夢を解く者へと成長していきました。

ヨセフは、釈放される給仕長に、自らの無実をパロに訴えて獄屋から出られるように取り計らってくれるよう願いましたが、給仕長は自由の身になると、そのことはすっかり忘れてしまったのです。

 

王の夢を解く

それから2年後に、パロが不思議な夢を見ました。一つは、ナイル川から太った7頭の雌牛が上がってきた後に、やせ細った7頭の雌牛が上がってきて、太った牛を食い尽くすという夢。もう一つは、太った良い7つの穂が出たが、新たなやせた7つの穂が、それらを飲み尽くした、というものです。

パロは胸騒ぎを覚えて、魔術師や知恵ある者たちに尋ねましたが、納得いく答えを出す者はいませんでした。その時になって、ヨセフのことを思い出した給仕長が、王に進言したので、ヨセフはパロのもとに呼び出されました。

ヨセフは、ずばりこう言いました。

 「パロの夢は一つです。神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。」(創世記41・25)

夢の意味するところはただ一つ。これから7年は豊作が続くが、その後の7年間は飢饉に見舞われるということでした。ヨセフは加えて飢饉に備えた食糧政策案まで提言しました。パロもすべての家来たちも、ヨセフの語ることに納得し、その知恵深さに敬服しました。そして、この難局を乗り越えるために相応しい指導者は、ヨセフをおいては他にいないと思ったパロは、彼を宰相に任じ、最高の権限を与えて飢饉対策に当らせました。

奴隷から囚人にまで落とされたヨセフが、再び上げられてエジプト全土を治める者になったのは、ちょうど30歳の時でした。

Category: 誌面説教