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神様と共に歩んだ父祖たち その3:ヤコブ③

20121224130258c2f<成和学生会報2013年5月号掲載>

ラケルとの出会い

 「ヤコブはその旅を続けて東の民の地へ行った。」(創世記29・1)

ベテルで主の声を聞き、神との契約を交わしたヤコブは、昨日とは全く違う心持ちで旅を続けます。かつて祖父アブラハムの命を受けた僕が、父イサクに相応しい嫁を迎えるために訪れたハランの地に、彼もようやくたどり着きました。

井戸の傍らで、そこに集う羊飼いたちに、母の兄ラバン一家の消息を尋ねました。そこにやってきたのがラバンの娘ラケルでした。彼女は、父の所有する羊に水を飲ませるために、この井戸まで群れを引き連れて来たのです。

彼女を一目みたヤコブは、駆け寄って、井戸の口を覆っていた石を転がして、羊に水を飲ませてやりました。そして、ラケルに近づき、親愛の情をこめて挨拶し、声を上げて泣きました。

親元を離れて荒野を渡ったヤコブでしたが、それほど長い歳月がかかったわけではありません。それでも孤独のうちに出会った親族の姿に万感の思いが込み上げてきました。懐かしい兄弟姉妹と再会したような慕わしさに加えて、父に祝福された意味が具体的に表れてきたことに畏敬の念を感じたのかもしれません。確かに、孤独な時を越えて目的地に着いてみると、最初に迎えてくれたのはまさに“骨の骨、肉の肉”と呼べるような“ふさわしい助け手”だったのです。

ラケルにとっても突然の従兄の登場は驚きでした。彼女は急いで父ラバンのもとに行き、“喜ばしい知らせ”を告げました。

ラバンの下で働くヤコブ

「妹よ、あなたは、ちよろずの人の母となれ。あなたの子孫はその敵の門を打ち取れ」(創世記24・60)

そのように祝福して妹リベカを送り出してから、どれほどの年月が流れたでしょうか。今、目の前に現れた甥の口を通して語られる物語によって、妹が辿った人生を追憶したことでしょう。感動ひとしおのラバンは、いったんは、「わたしの骨肉です」と言ってヤコブを歓迎しました。

娘をめとるためにはるばる訪れた甥は、よく見ると無一文で乞食同然の男で、結納金も持ち合わせていませんでした。兄弟の確執で家にいることができなくなり、親戚を頼ってきた居候に過ぎないのです。計算高いラバンは、ただで娘をやるわけにはいかないと思ったのでしょう。娘を嫁にやる代わりに、7年間無償で働くことを花婿に約束させました。

それでもヤコブにとってはありがたいこと。7年は夢のように過ぎ去りました。「彼女を愛したので、ただ数日のように思われた」(創世記29・20)とあります。

約束の期日が満ちたので、ようやくヤコブがラケルと夫婦の契りを結ぶことになりました。しかし、ラバンはヤコブをだまして姉のレアを嫁に与えました。姉が先に嫁ぐのが慣わしだと言うのです。この時も、ヤコブは不平も言わず、ラケルをめとるために更に7年間黙々と働きました。

こうしてヤコブは、レアとラケルの姉妹を妻とし、つかえめジルパとビルハがこれを支えました。家庭を出発したヤコブは、ラバンの下でさらに7年間、娘婿であるよりも、まるで僕のように一生懸命働きました。

この間、後にイスラエル民族を形成する息子たちが次々に誕生しました。レアがヤコブのために生んだのがルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。ジルパはガドとアセル。ビルハはダンとナフタリを生みました。ラケルはようやくヨセフを生み、生涯の終わりにベンヤミンを生むことになります。

ヤコブは知恵を尽くして、家畜を生み増やし、正当な報酬を得て、強く富んでいきました。

ヤコブを慰める父母様

何一つ不平を言わず働き続けたハランでの21年の歳月、ヤコブはどのような心境だったのでしょうか。妻たちの葛藤を尻目に、「あなたを決して捨てない」と言われた神様のみを信頼するしかなかった孤独な日々であったことでしょう。お父様は、慈愛に満ちた天の父母様の眼差しでもって、ヤコブのことを語ります。

 「ここで私たちは、ヤコブが最も孤独な境地でも神様のみ旨だけを考えたことを知らなければなりません。彼の人生でほかのことは問題にならなかったのであり、重要なことは神様のみ旨を成し遂げることでした。それで彼は世の中からだんだんと遠くなりましたが、より多くの神様の愛を受けるようになりました。そして、21年後には、神様が祝福してくださったすべてのものを再び取り戻し、カナンに帰ってきたのです。」 (『世界経典Ⅱ』第9章 5.ヤコブ)

こうして、長子の嗣業を復帰したヤコブは、アベルの立場に立って、兄エサウのもとに再び帰っていくことになるのです。

Category: 誌面説教