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神様と共に歩んだ父祖たち その1:アブラハム①

bassano-departure-abraham-NG2148-fm偉大なる父祖アブラハム

 復帰摂理歴史において、神様はノアから10代、400年の蕩減期間を経て、ノアの身代わりとして、アブラハムを立てられました。ユダヤ人たちは父祖アブラハムを称えて歌います。

 アブラハムは諸国の民の偉大な父であり、その名声には何のかげりもない。彼はいと高き方の律法を守り、神は彼と契約を交わされた。彼は契約のしるしを体に受け、試みに遭ったときも、忠実であり続けた。それゆえ、神はアブラハムに次のように約束された。諸国の民は彼の子孫によって祝福を受ける。彼の末は地の砂の数ほどに多くなり、その子孫は空の星のように高く上げられる。海から海に至り、川から地の果てに及ぶ地を、彼らは代々受け継ぐようになる。(シラ44・19~21)

 ユダヤ人はアブラハムの物語を、ユダヤ人にとっては直接の先祖の物語として心に刻んできました。その伝統を相続したキリスト教徒は、アブラハムを“信仰の父祖”と尊敬してきました。その後に登場するイスラームの伝統においても、彼を父として慕ってきたのです。

 特に、ユダヤ人たちは、父祖の物語を、私の身近なお父さんやお祖父さんのできごとを記した物語として読み深めてきました。私のお祖父さんはこのように神様から呼ばれ、他の誰も神様を知らない世界で、神様と歩まれた方だ。そして、お祖父さんに起こったことは自分にも起こることだととらえてきたのです。だから、私もアブラハムのように生きようとなるのです。

 つまり、選民にとって父祖たちの人生は、自らの行くべき人生でもあるのです。

アブラハムの一族

 アブラハムはカルディアのウルで生まれました。親からもらった名前はアブラム。神様と契約を交わした後に“アブラハム(諸国民の父)”と呼ばれます。彼の父親はテラ、偶像商だったといいます。アブラハムの兄弟はナホルとハラン。3人はウルで成長し結婚しました。弟のハランにはロトと2人の娘が生まれましが、父に先立って早く亡くなりました。

 ハランを失った悲しみがあまりにも深かったのでしょうか。ある日、父のテラは、故郷を離れる決意しました。ナホルとハランの娘でナホルの妻となったミルカは、カルディアのウルに残り、テラは、長男のアブラハムとその妻サラ、ハランの息子ロトを連れて、カナンを目指して出発したのです。しかし、ユーフラテス川を遡り、ハランの地に着いた時、父親は先に進むことをあきらめ、その地に定着しました。

アブラハムの召命

 テラの一家にとってハランの地がいつしか生まれ故郷のように感じられ始めたとき、突然、神様がアブラハムに声をかけました。

 あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基となるであろう。あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地のすべてのやからは、あなたによって祝福される(創世記12・1-3)

 驚くべき呼びかけに、アブラハムはためらうことなく従います。親を残して、妻と甥のロトを連れて出発します。そのときアブラハムは75歳。もう若くはなく、責任をもって一族を率いていく立場に立っていました。その男が、年老いた父親を残して、目的地もわからないまま、神様の約束だけを信じて歩み始めるのですから、簡単なことではありません。

 しかし、アブラハムには神様のその一言で十分でした。彼は困難を恐れず、み言に従って出発し、その後の人生のすべてをかけたのです。

あなたに行け!

 神様がこの時アブラハムにかけた一言、「行きなさい」には深い意味がありました。ヘブライ語では「レフ・レハー(あなたに行け)」と書かれています。ユダヤ人たちは、そのみ言の意味を探求してきました。

 ある人は、神様が背中を後押しするように「あなたが行け」と言われたととらえ、ある人は、「今は辛い選択でも、いずれあなたのためになる」という、未来を見通す神様の配慮を表していると言います。ある人は、「過去と決別して、新たな人生を歩みだすことを、あなた自身が決断せよ」との呼びかけだと言います。また、ある人は、「まだ隠れている自分の能力を発見し、本来のあなた自身になるための人生を歩みだせ」と迫る神様だと理解しました。

 どれか一つが正解というわけではなく、すべての意味を含みながら、神様がアブラハムに語ったのが「レフ・レハー」。その呼びかけに素直に応えて出発したゆえに、彼は“信仰の父”と呼ばれるのです。

Category: 誌面説教