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預言者の道を歩まれたイエス・キリスト その3:エリシャ②

 

後継者の証

 エリシャは、エリヤの後継者として、イスラエルの民をアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神に立ち帰らせるために生涯を捧げ、いかなる支配者にも屈することなく、多大な影響力を持ちました。彼の活動期間は、北イスラエル王国のアハジヤ王の時に始まり、ヨラム、エヒウ、エホアハズ、ヨアシまでの5代、およそ60年間に及びました。

 エリヤが天に昇るのを見た後、エリヤが遺した外套を取り上げ、ヨルダンの水をこれで打つと水が分かれてエリシャはそこを渡ります。エリシャの奇跡の始まりです。エリコで預言者の仲間たちは「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」(列王紀下2・15)と言って迎えます。しかし、まだエリヤのことを慕う人々は、50人のしもべたちを使い3日間エリヤを探してみますが、見つけることはできませんでした。

 こうして彼らはエリシャの下に集います。孤独な戦いを強いられたエリヤに代わり、エリシャは志を同じくする協力者と共にイスラエル全家にその威光を示すことになります。

奇跡の預言者

 「彼は生きている間、不思議な業を行い、死後もなお驚くべき業を行った。」(シラ48・14)と言われるように、エリシャは数多くの奇跡を行いました。

 まず、エリコでは水が悪く流産するというので、水源に塩を投げ入れて良い水に変えました。ある時は、負債を負って苦しむ未亡人を哀れに思い、借金の返済と生活費のために、油を増やしてやりました。シュネムに住む家庭にようやく生まれた男の子が死んでしまった時、母はエリシャに取りすがって助けを求めました。哀れに思った預言者は、その子を生き返らせました。

 また、仲間が食事を準備していて誤って煮物に毒草が混入してしまった時、エリシャは粉を入れて毒を消しました。さらに、20個のパンと一袋の穀物で100人の腹を満たしてやりました。

 なかでも最も有名なエピソードは、イスラエルを脅かす隣国の将軍ナアマンがエリシャの力を頼り訪ねて来たので、その重い皮膚病を癒したことです。

 エリシャはナアマンに言います。「あなたはヨルダンへ行って七たび身を洗いなさい。そうすれば、あなたの肉はもとにかえって清くなるでしょう」(列王紀下5・10)これを聞いたナアマンは怒りました。もっと劇的な治癒の奇跡を見せてくれると思ったのに、期待外れだったのです。それに、ヨルダン川は、自国の川と比べても、特別清流でもなく水量が多いわけでもなかったからです。しかし、部下たちは難しいことではないのだから預言者の言葉に従うようにとナアマンを説得します。それで「神の人の言葉のように七たびヨルダンに身を浸すと、その肉がもとにかえって幼な子の肉のようになり、清くなった」(列王紀下5・14)のです。喜んだナアマンはエリシャに頭を下げ、イスラエルのほかに神はないと悟り、自国で主に仕えることを誓いました。

奇跡が示すもの

 エリシャはそれ以外にも多くの奇跡を行いましたが、自らの不思議な力を誇り人々を従わせるためではありません。力ある業は人からではなく、神から来ることを知らしめるためでした。エリヤから始まる預言者たちの叫びは、奇跡を見せてでも、イスラエルの人々に、また、その周辺の国々にも、生きて共におられる神を知らせたいということでした。

 その中で重要なのは、神が立てられたイスラエルの国王が神の言葉に耳を傾け、神の願いに合わせた政策を施すようにすることでした。預言者の努力は、そこに向けられています。アブラハムを召し、イサク、ヤコブと受け継がれ、モーセによって民族的な広がりをもち、約束の地に入ってようやく国として建てられたイスラエル。その国は、彼らを導いた唯一の神、創造主であることを知る王によって正しい道を歩み、国民の安全も保障されます。預言者の使命は、イスラエルの神が導くことのできる国王を立てることにあったといってもいいのです。

 エリヤはアハブ王に偶像を廃するようにと、たった一人で戦いました。エリシャは預言者のともがらを従えて、この使命に取り組み、遂には、アハブの家系を断って新しい王を立てるに至りました。エリシャが亡くなる直前、ヨアシ王は涙ながらにエリシャに「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」(列王紀下13・14)と言います。それは、天に上げられるエリヤに向かってエリシャが叫んだ言葉と同じものでした。

 エリヤ、エリシャから800年後に来られたイエス様も、多くの奇跡の業を行いました。預言者たちの言動を見る時、地上では預言者の姿をもってしか歩むことのできなかったイエス様の、心に秘められた心情の一端を見出すのです。

Category: 誌面説教