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王であるキリスト その3 : ソロモン王

知恵に満ちた神の子

 

 イエス様がナザレで幼少年時代を過ごしている間、「幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった」(ルカ2・40)と福音書は記します。年齢が12歳ともなると、過越の祭りにはエルサレム巡礼に加わるようになります。神殿で教師たちと議論し、聞く人たちを驚嘆させたのはその時のエピソードです。この頃、「イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された」(ルカ2・52)と伝えています。

 

 神のひとり子は、神様の愛と恵みに満ち、知恵ある王子として成長している姿を示したかったのでしょう。そして、その方が希望の王となる日を待望しながら準備することを促しているようにも見えます。

 

民のために知恵を求める王

 

 ダビデは、国を守るためには勇ゆうもう猛に戦い、国を導く神様の前には従順に歩みました。国の中心に幕屋を据すえ、そのみ前に進み出ることを喜びとし、賛美の歌声を高らかに上げました。神に仕える僕の姿、それこそがイスラエルの王であるとのイメージを世に示しました。このダビデに続くイスラエルの王は息子のソロモンです。

 

 ダビデは、いよいよその魂を天に返す時が来たことを知ると、息子ソロモンにこう命じました。

 

 「あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。」(列王記上2・3)

 

 ダビデの後を継いでソロモンが王となり、父の戒を守ってイスラエルの基を盤石なものとしていきます。

 

 ある日、ソロモンがギベオンの高台で神様に犠牲を捧げていると、主は夢に現れてソロモンの望みを聞かれました。それに対してソロモンは「聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください」(列王記上3・9)と答えます。ソロモンが自分のためには何一つ望まず、民を公平に治めるための知恵だけを求めたので、それを神様は喜ばれて言われます。

 

 「見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起こらないであろう。」(列王記上3・12)

 

 知恵に満ちたソロモン王の見事な裁きを伝えるエピソードを聖書は語り伝えています。一人の幼子を自分の子どもだといって奪い合う二人の女に、その子を剣で二つに裂いて半分ずつに分け与えるよう命じます。その時の反応で女たちの本性を見抜いたソロモンは、子を生きて実母の手に返したのです。そして、「イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである」(列王記上3・28)と言うのです。

 

神を畏れることが知恵のはじめ

 

 このソロモンが父ダビデの偉業を相続し、父の成し得なかった“神殿”建設を、神様の許諾のもとに実現します。彼が創建したエルサレム神殿の中心には、神のみ言をしるした二枚の石板が納められ、国の基が強固となりました。ソロモンの治世において、イスラエルは最大の版図を広げます。

 

 知恵に満ちた王を仰ぎ見て、後世の人々は彼を称えてこう述べています。

 

 「ダビデに続き、聡明な彼の息子が跡を継いだ。ダビデのゆえに彼は平穏無事に暮らした。ソロモンの治世は平和そのものであった。神が彼のために四方の勢力を抑えられ、ソロモンは主の名のために家を建てて、永遠の聖所を備えた。ソロモンよ、あなたは若いころ、なんと知恵に満ち、大河のように洞察に富んでいたことか。地はあなたの精神で覆われ、あなたはなぞに富むたとえで地を満たした。あなたの名声は遠い島々にまで達し、平和のゆえにあなたは愛された。あなたの歌、格言、たとえのゆえに、あなたが与えた解釈のゆえに世界は驚嘆した。」(シラ書[集会の書]47・12-17『新共同訳聖書』)

 

 聖書に収められた教訓の巻物は、総じて“知恵文学”と呼ばれますが、ソロモンの愛称でも呼ばれます。知恵文学が共通に語る主題は、「神を恐れることが知識のはじめである」(箴言1・7)です。賢明な判断は神様を畏おそれ敬うことから始まります。遍く人間の人生観を貫いてゆるぎなく導く柱は神様との関係を知ることです。「知恵ある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみとなる」(箴言10・1)。ソロモンの箴言として伝えられる一節です。

 

 神の前に全き者として立ち、愛と慈みをもって人々に対し、偏りなく神の義を表す者が王である、というモデルを選民の心に刻みつけたソロモン王。その歩みは、来るべき神の子イエス・キリストが地上に到来して、王の王と

Category: 誌面説教